風 景

兵 庫


 江埼灯台


   訪問日


 2016年10月


詳 細


 兵庫県 淡路市にある灯台です。
 1871年(明治4年)4月初点、御影石造りの灯台です。
 
 レンズは第3等不動フレネルレンズ、不動白赤互光 白5秒赤5秒、光度 白6万2千・赤2万4千カンデラ、
 光達距離 白光18.5海里(約34.3km)・赤光16海里(約29.6km)、
 塔高8.27m、灯火標高48.5mです。
 保存灯台 Aランク、近代化産業遺産となっています。

 1867年(慶応3年)に幕府が英国と結んだ「大坂条約」で建設が定められた5灯台(江埼、六連島、部埼、友ヶ島、和田岬)
 のひとつです。
 そのうちで最初に完成した灯台で、「日本の灯台の父」である英国人 ブラントンが設計した、日本の西洋灯台では8番目の
 灯台です。
 彼の設計した灯台は、扇形の平屋付属舎の上に円筒型で鉄製の半球状のドーム屋根を載せた構造が多く、
 通称「ブラントン灯台」と呼ばれています。この灯台も例に漏れず上記の形となっています。
 任期約8年の間に全国で26灯台などの建設に携わっています。
 また、灯台の他に日本初の電信架設や西洋式の舗装技術の導入、日本最初の鉄道建設・大阪港と新潟港の築港に関しての
 意見書の提出、横浜公園の設計など開国直後の日本で実施された多くの土木事業に関わっています。
 
 1871年(明治4年)  光源が石油ランプにて初点灯。
 1933年(昭和8年)  電化される。
 1981年(昭和51年) 自動化され無人化。
 1995年(平成7年)  阪神・淡路大震災で大きな被害を受ける。

 震災では震源である「野島断層」の北端直上に位置していた為、倒壊は免れましたが揺れにより壁がズレています。
 灯台にいたる階段も断層によりズレが生じており、現在でもその跡が分かるように保存されています。
 灯台目前の明石海峡を跨ぐ、世界最長の吊り橋である「明石海峡大橋」が完成間近に地震に見舞われ、断層のズレにより
 全長が1m伸びた事が結構知られています。

 江埼灯台の背後の山には「大阪湾海上交通センター(大阪マーチス)」があります。
 センターでは海上交通の航行管制を行っており、全国に7箇所設置(東京湾・伊勢湾・名古屋港と下記4箇所)されています。
 そのうち4箇所(大阪湾・備讃瀬戸・来島・関門海峡)が瀬戸内海周辺に設置されています。
 瀬戸内海には灯台も多数建設されており、過去より現在に至るまで重要な航路であるという事を物語っています。

 江埼灯台では、毎年定期的に一般公開を行っており灯室内部も公開されます。
 今回もそれに合わせて行きました。なかなかお目にかかれない物が見れるので是非どうぞ。


行き方


 神戸淡路鳴門自動車道 淡路I.Cより県道31号線を北へ行きます。
 明石海峡大橋の下をくぐり瀬戸内海側に少し入った場所にあります。
 県道は海端を走っている為、灯台は見えません。灯台の形をしたモニュメントが目印です。






駐車場前から。
百人一首にも詠まれている「松帆の浦」から、少し瀬戸内海側に入った所にあります。




「緑の道しるべ江崎公園」という名前の公園です。




灯台の形をしたモニュメントがあるのですぐ分かります。




灯台へ。




江埼灯台は阪神淡路大震災の原因となった、野島断層北端の真上にあります。




赤色の部分が地震でズレました。




階段もズレたまま保存されています。




1.3m程ズレたそうです。








灯台へは200段程の階段を上ります。




正門。












一般公開とあって人が多いです。
















展示物の説明もしてくれます。












山を少し登った場所にあるので、見晴らしが良いです。








江埼灯台には非常灯が設置されています。




灯室。




一般公開では灯室も公開されています。












初点記念額。




内部は蓄電池がかなりの部分を占めています。




震災の時の写真が展示されていました。




昔の暖炉が残されています。




非常灯前にあるカメラの制御器。




灯室の下部。
壁が板張りです。




補修用のガラス。




海保のマスコットキャラクターである「うみまる」がおしゃべりしていました。
「試作品」とある様にお手製感が半端無いです。




灯室へ。












不動レンズのため、レンズ内を透明の赤い板が回っています。
















明石海峡大橋が見えます。








灯台制御用の自動点滅器。




浅瀬の多い西側は常に赤色となる様になっています。
レンズ保護の為の日除けも設置されています。




回転する赤光板。




























日時計。








裏側へ。




明石海峡大橋がちょうど良い高さで見えます。








遠くに平磯灯標が見えます。
1893年(明治26年)初点、日本で現存する最古の水中コンクリートです。








灯台に関する展示物。




アセチレンガス灯器。
今回から展示が始まったそう。




等間隔で点火・消火を繰り返していました。




制御室と反対側の部屋。




写真などが展示されています。




















どっしりした灯台です。








海保の制服で記念撮影をしてくれます。
















中央径間1,991mは1998年の開通から現在でも世界一です。
主塔は高さが海面上298.3mで国内4番目の高さがあります。
また主塔の基礎は海面下50m超に設置されています。




「松帆の浦」付近から。




大型船が橋の下をくぐって行きます。
明石海峡は1日に1,400隻もの船が通過する海上交通の要衝です。




平磯灯標。




橋の下は道の駅と公園になっています。
巨大なアンカレイジ。












主塔。




美しい橋です。




淡路島を一周して夕方に。








昼間は扉で隠れていた「近代化産業遺産」の記念額。












西側の浅瀬部分は常に赤光。




震災によりズレた筐体。
震源の真上でしたが、倒壊せずに破損で済みました。




白光。




赤光。




光の色がレンズと灯室の反射が反対なので、紅白幕の様に見えます。




白光。




赤光。




まさに「ブラントン灯台」といった形状です。








人気が無く閑散としており、昼間とは全く違う雰囲気でした。










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